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執筆者の写真Makiko Kaiser

【消費財業界の通訳 その6】フェイスとは

更新日:2020年5月27日

*あくまで通訳者目線での理解と訳出のポイントを書いていきます。

もしかしたら私が誤解している部分があるかもしれませんが、ご容赦ください。

そしてお手間でなければメールで教えてください!

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消費財業界で通訳をするとよく出てくるのが「フェイス face」という言葉です。

英語は顔とおなじ単語の face です。facing って言ってることもあるかもしれません。


急に出てくると、フェーズ phase のように聞こえてしまうので

戸惑う通訳さんをたくさん見てきました。


ざっくり言って、棚に並んだ商品のパッケージの正面のことを、フェイスと言っています。


解説しましょう。



フットケア棚の例です。


商品カテゴリは下の写真に(下手だけど)書き込みましたが、


・着圧ソックスのレッグケア(足首〜お尻、場合によってはウエストまで)

・フットケア(足首から爪先まで)



の二つに分かれます。

レッグケアは、その中で二大ブランドであるメディキュットとスリムウォークを分けて書きました。



全部見てると大変なので、着圧ソックスのカテゴリリーダー(No1ブランド)であるメディキュットにズームインしてみます。


(黄色が目立つ箱のMediQttOと書いてある箱だけみてください)




一番上の列は「メディカル リンパケア」と書いてある商品です。

「むくみ改善 血行促進」とうたっていますね(こういうのがclaimです)。

左から二つ目のフックには何もかかっていません(「欠品している out of stock」 )が、

一番左の商品(膝上まであるリンパケアのもの、Mサイズ)と同じ商品の

サイズ違い(Lサイズ)が入るべきスペースのようです。

その隣、左から3つ目と4つ目ははリンパケアの高圧力タイプの膝下のもののMとL。

左から5つ目と6つ目(右から3つ目と2つ目)はリンパケアの高圧力ではないタイプのMとL。

一番右はお尻までウエストまであるタイプのMサイズです。



二列目は薄紫色の膝上まである商品で、

「寝ている間に気持ちのいい引き締め足」とあり、就寝時に使うものです。

「寝ながらメディキュット」というサブカテゴリ名です。

一番左は「寝ながら」の膝上のMサイズ。

左から二番目は「寝ながら」の膝上のLサイズ。

左から三番目は膝上よりさらに長い、太ももを全部覆うくらいの長さのものの、サイズM。

左から四番目は上記と同じもののサイズL。


三段目はメディキュットですが、骨盤サポート用の商品です。

サイズMとサイズLとあります。


これら商品のパッケージがお客さんの方に向いている、その面の数をフェイス face と言います。

この場合、メディキュットは全部で13フェイス。

以前書いたように、同じ商品のサイズ違いは別々のSKUであり

同じサイズで2フェイス取っているものはこの場合はないので、

13フェイスで13SKU並んでいることになります。




緑の丸をつけたのがそれぞれフェイスです。(一つは空ですが)


もしも、例えば「寝ながら」の「膝上」のLがなくて「Mサイズ」が二つ並んでいたとしたら

Mサイズ(1SKU)が2フェイス、という並び方になります。


小売としてはできるだけ一つの棚からあげる売り上げ金額を最大化したいので

色々なバランスを見ながら決めていくわけですが

仮にLサイズの需要が全然ない場合はMサイズを2フェイス置くとか、

あるいはその分、何か別の商品をおくということになるかと思います。


実際、右上の角のメディカル/リンパケアのウエストまであるタイプのは、Lサイズが置いていないですよね。

売り場で何フェイス置けるのかのキャパシティと

ショッパー需要を考慮して、Lサイズは落とすことにしたんだろうと思います。


もちろん小売業の売り場ですので最終的に決めるのは小売業者のバイヤーさんなのですが、

カテゴリー category (レッグケアとか、液体石鹸とか、納豆とか、チョコレートとか)のトップブランド(カテゴリーリーダー category leader)が、

そのカテゴリーの棚割 planogram に関する議論や提案をリードする、という役割を果たしているようです。


色々なことを考えて、どこに何を何SKU、何フェイスづつ置くのか決めるのを

facing フェイシングと言います。


メディキュットというブランドには

「寝ながら」「メディカル」「おそとで」「ストッキング」という4つのサブカテゴリ sub categories があり、

何SKUもある中から、この小売業者はこの棚に上記の13SKU・13フェイスを選んだということになります。


この事例はレッグケア/着圧ソックスのNo2ブランドである

「スリムウォーク」ブランドのフィエス数が少ないですが、

サブカテゴリにかかわらず、メディキュットはメディキュットでまとめられていて、

ブランド陳列 (brand block、brand display) がなされています。

(サブカテゴリごとにまとめる陳列例も世の中にはあります。今度写真撮れたら取ってきますね)

商品を提供しているメーカー側としてはブランド名を目立たせたいので

ブランド陳列を好むようです。


厳しい棚割交渉を経て、晴れて棚に置かれた商品ですが

どの商品が月にいくつ売れたか(オフテイクofftake)は、

レジで収集しているPOSデータ(POSはpoint of sale)などで追跡されています。

成績が悪いと、棚落ち delist と言って、売り場から外されてしまうことも。

成績不振が続くとメーカー自身もその商品、あるいはそのブランド全体を見限り、

終売(しゅうばい)discontinue (日本語でディスコンとも言う)となることもあります。


スナック菓子の「カール」が

全国販売をやめて地域限定になったの覚えてますか。

子供の頃の好物だったので私は密かに悲しかったんですけれど、

大人になってから全然買っていなかったし、友達なども買っている気配なかったので

きっと売れていなかったのでしょう。

ビジネスとしては致し方のない決断だったんだと思います。


好きな商品は買って応援する姿勢が、消費者として大事ですね。



今回のtakeaway 

フェイス face
欠品 out of stock
カテゴリー category
サブカテゴリー sub category 
カテゴリーリーダー category leader
棚割 planogram
フェイシング facing 
ブランド陳列、ブランドブロック  brand block、brand display 
POS point of sale
オフテイク offtake
棚落ち delist
終売、ディスコン discontinue 



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